原神で優遇されていると思う元素は何でしょうか?
多くの人は炎と答えるでしょう。これはリリース直後からずっと言われ続けていることです。しかし、本当にそうなのでしょうか?
クレー使いとして人一倍、蒸発や炎元素キャラの取り巻く状況を考察してきて感じたことは、実態以上に強く見られているということです。クレーを見ていると蒸発が強いと思えないというのはなんとなく分かると思います。
今回は強いと言われ続けてきた炎元素の化けの皮を剥がしていきたいと思います。その上で本当に炎元素が優遇されているのか考えていきます。
蒸発と溶解
まずは炎元素が強いと言われる一番の要因である蒸発と溶解について見ていきます。ここでは炎側での蒸発と溶解を主に扱いますが、氷や水側でも同じように成り立つものもあります。
元素付着
増幅反応と転化反応の違いは何でしょうか、と言われれば一つは元素付着の順序です。
例えば、胡桃と行秋で攻撃する場合、行秋の元素爆発で水付着した後に胡桃の重撃で蒸発を起こします。
対して転化反応は追加ダメージのダメージ量が少なく、反応ダメージ自体を利用するという使い方はされないため、元素付着順序を気にする必要がありません。
このように蒸発や溶解は、元素付着の順序をコントロールする必要がある分手間がかかるわけです。
集団戦での元素付着
「いやいや、胡桃行秋なら元素付着のコントロールなんて簡単じゃん」
そう思う人も多いでしょう。確かに単体の敵に対してはそうですが、集団戦ではそうもいきません。行秋では集団の全てに水付着するのは難しいのです。
範囲攻撃を持たないキャラ
「集団戦での元素付着問題は万葉やスクロースの元素爆発を水に元素変化させれば済む」
という反論もあるでしょう。しかし、もう一つの問題があります。そもそも、炎側に範囲攻撃があるかどうかです。
例えば、胡桃の重撃を6体に当てるなど出来るわけがありません。元素爆発を使えば良いかもしれませんが、敵が複数ウェーブにわたって出現する場合には、連続して元素爆発を使う必要が出てくるため難しくなります。
宵宮の場合はもっと酷いです。ウェンティで集めた敵に攻撃しても1体にしか当たらないのです。
このように、炎元素キャラが範囲攻撃を持つかどうかでも集団戦での増幅反応の使いやすさが変わります。
元素変化の優先順位
元素変化にも問題があり、風主人公以外の元素変化の優先順位は炎水雷氷であるため、炎に元素変化させてしまう可能性が高いです。
そうなると、炎側での蒸発の邪魔になります。
集団戦では敵の中に1体でも炎付着した敵がいると炎に変化するため、事前に水元素を付着させる必要が出来ますが、それでは本末転倒ですね。
元素付与クールタイム
よく知られていることですが元素付着にはクールタイムがあります。これにより連続して蒸発を起こせないキャラも多いです。
例えばクレーの元素爆発は最大30回当たりますが、そのうち蒸発を起こせるのは半分もないでしょう。
例外はいるが、、、
多くの問題がありましたが一応、例外はいます。香菱の元素爆発は範囲攻撃であり、元素付与クールタイムもありません。そのため炎側での蒸発を起こしやすいキャラです。集団戦も出来る蒸発編成として国際編成が有名ですね。
香菱の場合、天賦倍率の高さのお陰で増幅反応無しでのダメージも高いため、炎付着側に回って逆溶解サポートとしても使えます。よく使われるものとして、香菱で炎付着し、甘雨で溶解を起こす編成があり、これは複数体で溶解を起こせます。
逆に言えば、あまりにもキャラのスペックに依存しすぎているとも言えます。キャラによって違いがあるのは当然のことですから、何とも言えないところではありますけどね。
ダメージについて
次は倍率についてです。増幅反応の倍率とその他バフ効果の倍率から天賦倍率について比較していきたいと思います。
逆蒸発と各バフの比較
逆蒸発と各バフ効果の上昇倍率を比較していきます。逆蒸発の倍率は初期倍率の1.5倍とします。
倍率 | |
---|---|
ベネット | 1.4倍 |
楓原万葉 | 1.5倍 |
翠緑(10%) | 1.28倍 |
翠緑(25%) | 1.43倍 |
翠緑(50%) | 1.8倍 |
バッファーとして有名なベネットの元素爆発は約1.4倍、翠緑を含めた万葉のバフは約1.5倍あります。耐性10%, 25%, 50%に対する翠緑デバフは1.28倍、1.43倍、1.8倍です。こうして見ると蒸発の倍率は高く見えますね。
拡散起点の効果と増幅反応
まずは結論から。拡散起点の効果、つまり翠緑や万葉のダメージバフなどは増幅反応と相性が悪いです。
胡桃、行秋、万葉の例で考えてみましょう。胡桃で火力を出したいわけですから当然炎拡散を起こしたいです。ではどこで拡散を挟むのか?
翠緑と万葉のダメージバフの効果時間はそれぞれ10秒と8秒であり、2凸行秋の元素爆発の効果時間は18秒ですから、行秋を先に使った後炎拡散した方が良さそうです。しかし、この場合行秋により水元素を付着させてしまいます。
となると、行秋と万葉の間に炎付着出来るキャラを挟むわけですが、水元素が付着した敵に炎元素を付着させるのは難しいです。運が悪いと行秋の剣雨(体の周囲で回ってるやつ)で水付着してしまうかもしれません。
翠緑蒸発編成という実際にある編成では、万葉の元素爆発を水元素に変化させるため、より炎付着が難しくなります。
さらに、行秋、万葉で元素爆発を使うため、元素エネルギー周りも厳しくなります。固有天賦で元素エネルギー回復が出来るクレーの翠緑蒸発編成ですら、軒並み元素チャージ効率220%以上は必要になります。
もともと、増幅反応では元素付着の順序をコントロールする必要があるのに、拡散起点のバフ効果のために、拡散をどこで起こすのかにも気を配る必要が出てくるため相当に難しくなります。
このように、拡散起点のバフ効果と増幅反応は相性が悪いです。
集敵
元素付着についての議論と同じく集団戦を考えます。集団戦が得意な編成では大抵は集敵を使いますが、この集敵が一体どの程度の倍率になるか考えていきましょう。
単純計算で敵1体にしか当たらないところを2体に当てると2倍です。同じように色んな場合について集敵を倍率化すると次の表のとおりになります。
敵の数 | 倍率 |
---|---|
1→2 | 2倍 |
1→3 | 3倍 |
2→3 | 1.5倍 |
3→4 | 1.33倍 |
3→5 | 1.67倍 |
4→5 | 1.25倍 |
敵が多ければ多いほどこの倍率は高くなります。蒸発の倍率と比べても明らかに高いです。
また、範囲攻撃を持っているかどうかでも集敵による上昇倍率は変わります。ウェンティの元素爆発中に宵宮で攻撃しても1体にしか当たりませんから、この場合は集敵による上昇倍率は変わりません。
炎元素には範囲攻撃キャラがあまり多くなく、拡散や元素変化との相性の悪さからそもそも風元素キャラを採用しない場合もあります。そのため、集敵というある種の強力なバフを使うことが出来ないことがあります。
天賦倍率
炎元素キャラで増幅反応を前提としているキャラは天賦倍率が低めに設定されている傾向があります。
例えば、胡桃の元素爆発は天賦レベル9、HP50%以下で588%です。対して刻晴の元素爆発は天賦レベル9で合計797.4%です。
この2人を比較することが妥当かについては議論の余地がありますが、単純に比較すると刻晴は胡桃の1.36倍の天賦倍率があります。
本題
では、ここまでのことを前提として炎元素を解体してきましょう。
なぜ炎元素が強いと言われるのか
炎元素が強いと言われるのは増幅反応の倍率です。確かに単体火力はトップクラスですが、集団戦では元素付着や攻撃範囲の問題に拡散との相性の悪さがあります。また、拡散が出来ないために集敵キャラを採用しないという場合も多いです。
にも関わらず炎元素が強いと言われる原因があります。それはダメージ計算です。ダメージ計算では複雑にならないように単体の敵を想定します。
考えてみてください。敵が2体3体といて、その間での元素反応や、この敵には当たってこの敵には当たらない、なんてことを考えられるでしょうか?私には無理です。
(多体問題や巡回セールスマン問題のように、考える対象が増えると議論は一気に複雑になります。解析的に解けなかったり、計算量が膨大でコンピュータですら解けないということもあります。つまり、難しすぎる)
ダメージ計算ではこのように集団戦を想定することがない、というより難しすぎて出来ないのです。このことが炎元素の弱点の隠れ蓑になっていました。
集団戦が苦手
炎元素は集団戦が苦手です。攻撃範囲の狭さから範囲火力が低かったり、集団戦での水付着に問題があるため蒸発が起こせなかったりが原因です。
炎元素は集団戦が苦手だと言われて、じゃあモノパイロ編成みたいにすればいいじゃんと思った人もいるでしょう。
しかし、ここで天賦倍率の低さが顔を出します。増幅反応なしなら普通に雷元素の方が強いのです。しかもあっちには範囲攻撃が出来る元素反応まであります。
実際に集団戦が得意な炎元素の編成って一部の炎元素キャラしか使えません。パッと思い浮かぶものでモノパイロと国際編成ですね。
モノパイロは増幅反応なしの編成ですけど、国際編成って増幅反応ありで、なおかつ集団戦やってるから本当に頭おかしいと思います。強すぎ。
また、集団戦が苦手なことは、ザコ敵が大量に出てくるイベントで胡桃を使った動画をあまり見ないことが物語っているようにも思います。胡桃だけの特殊な例という可能性はありますが。
頼みの単体火力についても危ういかも?
炎元素の強みは増幅反応による単体火力なのですが、その単体火力による地位も危うくなっています。
万葉による翠緑を合わせた上昇倍率は約1.5倍であり、これは逆蒸発の初期倍率とほぼ同じです。つまり、万葉がいるだけで雷や氷は全ての攻撃で蒸発を起こしているのと同じなのです。当然ベネットでも同じようなことが言えます。
胡桃にとっての行秋の枠に、ベネットや万葉などの強力なバッファーを入れればすべての攻撃で蒸発を起こすのと同義です。
元素熟知を上げれば蒸発の上昇倍率を1.5倍より大きくすることは出来ますが、雷元素は天賦倍率が高いため打ち消される可能性があります。
先程、胡桃と刻晴の天賦倍率を比較すると胡桃の1.36倍ありました。もし、万葉で雷拡散をすると、1.36×1.5=2.04倍となります。
もちろん、胡桃の攻撃力バフなど考慮すべきところは沢山ありますが、高倍率アタッカーと強力なバッファーコンビは、蒸発アタッカーと水付着役コンビと同等の倍率を持つ可能性があるわけです。
gcsimのteam DBを見る限りではまだ蒸発編成が一番上にいるので雷元素キャラが勝つということは起きていませんが、中国の螺旋統計でver2.8の12層後半で一番使用率の高かった水2胡桃より、感電編成(フィッシュル、行秋、夜蘭、万葉)の方が単体火力が高かったので首の皮一枚でつながっているような状況です。
強力なキャラを使っているだけと思うかもしれませんが、どちらも同条件での比較です。別に胡桃は万葉を使ってはいけません、みたいな不公平な比較をしたわけではありません。相性が悪いこともそのキャラの評価に繋がるわけです。
追記(2022/08/23)
先日、gcsimの仕様が変更され、hitlagを含めて計算可能になりました。この影響で近接キャラである胡桃の編成は火力が落ちることになりました。
もっと言えば、gcsimのteam DBの順位はほぼ香菱のお陰であり、胡桃は先程使いづらいといった翠緑蒸発編成でどうにか繋いでいる状態なので、使いやすさ込みなら負けています。
さて、ここまでさんざん、単体火力でも負けている、みたいな論調をしてきましたが、さすがにまだ炎元素の方が単体火力が優秀です。
そもそも、単体火力の出せる感電編成はごく一部ですから、全体としてはまだ蒸発や溶解を使った編成の方が単体火力が高いことが多いです。上の例で出した感電編成は防御サポーターがいないという問題もあります。
単体火力と範囲火力のバランス
ここまでは単体火力だけの話をしてきましたが、コンテンツをクリア出来るための火力という視点に立って単体火力と範囲火力のバランスを見ていきましょう。
深境螺旋12層を前提に考えると炎元素の単体火力は十分すぎるほどにあります。対して範囲火力は低いですが、集団戦でも素早く各個撃破すればコンテンツクリアに必要な火力は出せるでしょう。
雷元素はどうかというと、範囲火力は高いです。単体火力は決して高くはないもののコンテンツクリアに必要な分はあると思います。
これだけ見ると単体火力は炎元素、範囲火力は雷元素と、上手く分かれているように見えます。ただ、一つだけ問題があるように思います。範囲火力の高い編成で単体火力を出すより、単体火力の高い編成で集団戦をする方が難しいということです。
例えば、敵が1体のとき、蒸発編成なら最低でも1.5倍の倍率をかけて戦えます。集団戦が得意な編成では集敵の意味がなくなるので、翠緑とかで最低1.28倍の倍率をかけて戦います。
敵が3体のとき、蒸発編成では集敵が出来なかったり、範囲火力が出せなかったりして蒸発の倍率以上を出すことは難しいです。集団戦が得意な編成では、集敵が大きく効いてきて3倍の火力を出せるようになります。
こう考えると、各個撃破で集団戦やるのって難しいと思いませんか?3体ではなく6体とかになればさらになります。
もちろん、キャラごとの特徴によって変わりますし、敵のHPによって必要な範囲火力だって変わりますから一概にこれが全て、とは言えません。あくまで概算です。
ベネット香菱という怪物
炎元素を不遇とする要因として、キャラや元素反応などの性能の問題だけでなく、環境の問題もあると思います。見出しの通り、ベネット香菱ペアです。
高倍率、範囲火力、元素付与クールタイムなし、オフフィールドアタッカーという使いやすさ。はい、既存の炎元素アタッカーで勝てる要素がほとんどないです。
いや、ちゃんとありはしますよ?胡桃は行秋と組み合わせるだけで火力が出せるという手軽さとか。
でもね、単体火力に範囲火力、使いやすさという3つで負けてるならもうダメじゃんって思うんですよね。
クレーに対してよく引く意味がないと言われますが、これはほとんどの炎元素キャラにも言えそうです。
結論
炎元素は単体火力に特化した元素です。蒸発や溶解の倍率はベネットや万葉といったトップクラスのバッファーのバフ量とほぼ同等という破格の性能をしています。
しかし、集団戦はかなり苦手です。それは元素付着や攻撃範囲などの複合的な理由でした。また、これらの弱点は通常のダメージ計算では分からず、あまり一般には知られていません。
環境的にはベネット香菱ペアがとても強く、炎元素の星5キャラには引くための理由が少ないです。
おわりに
ここまで散々に言ってきましたが別に炎元素が嫌いってわけじゃないです。クレー使いだからって他の炎キャラを貶めたいとかそんなことは微塵も思ってないですよ。
修正が必要とは思っていませんし、特別炎元素が弱いとも思っていません。ただ、憂慮すべきことが一つあります。それは雷元素の強化です。
雷元素を強化してほしいという声がありますが、もし本当に強化された場合、炎元素はほぼ間違いなく死にます。
追記
草元素が追加されて上の不安が現実になりつつあります。
DPS最強と言われる超開花雷電や海外でQuickbloomと呼ばれる激化と超開花を起こすパーティは、雷元素を使いながら単体DPSがかなり高くなります。
激化や超開花はこれまで雷元素の弱点だった単体火力の低さを補えるので、大きくリードする形になってしまいました。
このことが一番の不遇なのかもしれません。実態以上に強いと思われているから、周りだけ強化されて取り残される。コンテンツはクリア出来るけど引く価値がなくなる。ああ、恐ろしや恐ろしや、、、。
私としては好きなキャラを使えば良いと思いますし、性能に被りがあるなら好きな方を選べばいいとも思います。でも、引く価値はないです。そう、いつもクレーちゃんが言われていることです。
、、、もう一度言いますが、別にクレー使いとしての恨み節ではないですよ?
かなりセンセーショナルな内容なので誤解をされないように一応補足。タイトルで炎元素は不遇、みたいに書いている理由ですが、私の中で炎元素と雷元素はほぼ同等の評価をしています。
炎が雷に劣っているとは思わないし、その逆も然りです。でも、雷元素は世間では不遇元素として見られています。なら、それと同等の評価をしている炎元素も不遇になる、という理由です。
筆者的には別に不遇か?と思っているので、炎も雷も別にどちらも不遇っていうほど不遇とは思わないんですけどね。
(ここまで炎元素をボロカスに言ってるやつのセリフじゃねぇってのはマジでその通りなんですけどね)
しっかり解説はしないけど豆知識的な感じでいくつか小話。
クレーモノパイロでのクレーの火力と水2胡桃での胡桃の火力はクレーを1とするなら胡桃は1.05です。
胡桃の重撃は行秋の元素爆発より先にあたります。そのため、蒸発が全く起こせなくなる場合があります。螺旋動画とかをスローで見ると分かりやすい。今は水2胡桃で解決しましたけどね。
宵宮でも同じような蒸発できないループがあります。
上では元素付着の順序がー、とか言いましたけどクイックスワップ型溶解編成や国際編成のようにあまり順序を気にしなくて良い編成もあります。少数ですけどね。
コメント
原神やめろ!原神向いてない。
自分でゲーム作れば?そんなゲーム1ヶ月くらいでサ終するけど。それかソシャゲでもやれば?ソシャゲなら広範囲高火力キャラをポチポチすりゃ良いだけだしね。
内容のほとんどが他の元素にも当てはまる事で草
攻撃範囲とか付着とかもはや元素じゃなくてキャラ性能じゃん
元素ごとに傾向があること
付着順序が重要だとキャラ性能に依存しやすいこと
この2つも考慮する必要がありますよ
一つ一つの話は正しいけどなんか納得できない
炎元素があまりにも強いと言われすぎているので、こういう弱みがあるよ、っていうのを伝えたいという気持ちが大きすぎたのかもしれないです
一度見直して、誇張しすぎと感じたところは修正するかもしれないですね
とりあえず一通り修正しました